正の整数とは、かつのときに、でありを満たすものである。
具体的な数として、1, 2, 3が挙げられる。
公理[]
1は最小の正の整数である[]
「すべての空ではない正の整数の集合は最小の整数を含む」というのを、正の整数の性質として仮定した場合、当然正の整数全体に対しても、同様のことが言える。そのとき、「1は最小の正の整数である」という公理を作ることができる。
この公理は整数の離散性を表すための重要な公理である。また、この公理を認めることにより、に対してを満たす最小のmが確定する。
派生する命題[]
上記に書いたとおり、この公理を認めることにより、に対してを満たす最小のmが確定する。
はである。
とする場合、で最小の数は、上記の公理により1になる。
従って、の最小の数は1になる。
このとき、 とおける。そのため、任意の数nの次に大きい整数は
となる。このことにより、であるbがあり、なおかつであるならば、となる。
これは、と置いた場合、の範囲は となる。このとき、 であるとした場合、任意の整数において、次に大きい整数はであるわけだから、少なくともを満たすzは存在しない。また、同様に、も存在しない。
まとめると、正の整数の範囲、ならびに負の整数の範囲において、 を満たす整数は存在しない。しかし、絶対値は0をとることができる。
ならば、は、実質的にとなる。
0であるということは、同値による引算であるわけだから、だということがわかる。
上記の証明からわかるように、である正の整数と、負の整数は存在しない。従って、が明確な場合は、だということがわかる。同時に、 であるときは、になる。
0は正の整数か?[]
上記の定義において、正の整数において、0は含まれないという定義になっている。しかし、必ずしもこの定義が採用されているわけではない。
例えば、アンドレ・ヴェイユは、正の有理数を定義する場合、下のような定義を採用している。
同様に、負の有理数は下の定義を採用している。
このとき、0は、正でも負でもあるという扱いになる。この定義を受け入れた場合、数学的帰納法に影響を与える。数学的帰納法の開始が0からの証明になる。
正の整数は非負か?[]
正の整数と言えば、非負であると思いがちであるが、非負ではない。非負、というのは正の整数と一致しない。
まず負の整数をかつのときに、でありと定義する。
このとき、非負はであり、0を含む。しかし、正の整数の定義上、0は含まれない。従って、非負は正の整数とは一致しない。
したがって、非負は正の整数ではない。また、同様に、0が正の整数でもあり、負の整数でもあるとした場合、非負は0を除外する。しかし、正の整数は0を含んでいる。やはり矛盾する。